岡本太郎「自分の中に毒を持て」

目次

〔1〕 意外な発想を持たないとあなたの価値は出ない ――楽しくて楽しくてしょうがない自分のとらえ方

1 自分の大間違い
2 “モノマネ”人間には何も見えない
3 一度死んだ人間になれ
4 直線と曲線の違い
5 “捨てる主義”のすすめ
6 らくに生きる人間は何を考えているか
7 エゴ人間のしあわせ感覚
8 好かれるヤツほどダメになる

〔2〕 個性は出し方 薬になるか毒になるか ――他人と同じに生きてると自己嫌悪に陥るだけ

1 “爆発”発想法
2 道は一本か、十本か
3 正義の裏・悪の表
4 成功は失敗のもと

〔3〕 相手の中から引きだす自分 それが愛 ――本当の相手をつかむ愛しかた愛されかた

1 愛の伝え方を間違えると
2 “その一瞬”を止める方法
3 男と女に知的関係はあるか
4 自分の愛とその人の愛の違い
5 失ったときから始まる愛

〔4〕 あなたは常識人間を捨てられるか ――いつも興奮と喜びに満ちた自分になる

1 きれいになんて生きてはいけない
2 頭を遊ばせて世の中をみてみよう
3 “爆発”の秘密
4 自分を笑ってごらん
5 むなしさの生みの親
6 あなたは何に燃えたいか

道で仏に逢えば、仏を殺せ

岡本太郎は、ある僧侶が「道で仏に逢えば、仏を殺せ」という臨済禅師の言葉を称賛したことに疑問を抱いた。彼は、そのような言葉が現代の現実において本当に実効性があるのかと問う。彼は壇上で、「京都の街角に立って仏に逢えるか?」と僧侶たちに問いかけたが、誰も答えられなかった。そこで岡本は、「逢うのは己自身だ。己を殺せ」と述べ、己自身と対峙し、それを乗り越える覚悟の重要性を強調した。現代社会では、進歩や福祉に甘んじ、安全な生活を求めるあまり、危険に立ち向かい生きがいを追求することが稀であると指摘する。岡本は、己を殺す覚悟と情熱を持って生き抜くことが、現代の虚無化した時代において特に重要であり、それこそが人生を貫くための真の挑戦であると説く。彼は臨済禅師の言葉を、自分自身を殺すという意味で解釈し、全存在を賭けて挑戦することの意義を強調している。